第230回『価値と人間力の人材育成



<今日のポイント>

 お客様や働く仲間、そして社会にお役立ちしていく価値提供。

 この“価値提供”は、人の徳になり人間力になっていきます。

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 仕事における価値提供を単なるスキルだと解釈してはいけません。

 人格を磨くというのは、自己を通じた周囲への好ましいお役立ちです。

 そして、お役立ちは魅力であり、それを発する人の人徳にもつながるものです。 

 今回のコラムでは、人間力を同時に高めていくための“価値提供”について書いております。

 企業が一致団結して前に進むためには欠かせない人材育成になります。

 ぜひお時間を作ってお読み頂ければ幸いです。

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 資治通鑑(しじつがん)という古典に人材登用の判断基準が書かれています。

 徳(人間力)と才(知識や技術)という側面で見たものになります。


 ①徳と才を高いレベルで実践している人-聖人

 ②徳が才よりも優先する人-君子

 ③才が徳よりも優先する人-才人

 ④徳も才も低い人-愚人


 さて、昔の教えというのは、起こった一度のものではなく、限りない例からの教訓です。

 徳とは人間力になるものですが、これはお客様や仲間、社会に対するお役立ちで、好ましい影響を発するものになります。

 才は知識や技術などで、何かの目標を達成していくときに必要なものになります。


 人材登用の順番は、①→②→④→③となります。

 これが大昔からの教訓ですが、実際のところ・・・・③が一番に来ているケースが多いものです。

 知識や技術が高いとういのはとても大事なことで、企業であればこれらの考え方やフレームワークがあるからこそ、商品やサービスを形にしていけます。

 そして、売上という結果を出していけるものになります。


 「だったら③が一番で良いのでは?」

 ということになりそうですが、③の人は『徳よりも才が優先する人』なので、目的が自分にしか向いていない傾向があります。

 昔の教訓としては、全体のお役立ちという目的ではなく、自分の利益のためという欲が優先している人が、国の要職に就けば、権力を自分のために使うようになるといものです。

 徳を優先している②の人でさえ、自己修養しなければ、権力を手に入れた瞬間に③となって徳を失う人が多いものです。


 根本的な目的は、お客様や人様、社会にお役立ちをしていくことです。

 それを、人の本質的要素を発揮して果たしていくもので、自分だけという邪な視点で知識や技術を活用すると、本来の目的とかけ離れていきます。

 自己中だと、自分の得にならない人や、自分に都合の悪い人を排除していきます。

 自分の欲求を満たすことが優先するので、組織の人事や人間関係も悪くなっていきます。


 二宮尊徳翁も人材登用に関しては、資治通鑑(しじつがん)から同じように言っています。


 「徳の無い者を評価するときは、報奨金で評価して、決して地位を与えてはならない」

 このように言っています。


 さて、ついでに④の人材ですが、徳も才もまだまだ未熟な場合が3番目ですが、このタイプの人はこれから学ぶ人です。

 しっかりと徳を優先して才を高めていくことを教えていけば、②の人材になっていく可能性が高い人です。

 ③の人も努力次第では②になれると思いますが、そもそもの生き方を根本的に変えていく必要があります。

 ましてや、権力を握ったら②の人でさえ③になってしまうくらいなので、並大抵の努力では足りないくらいです。

 しかし、教育次第では可能だと思います。



 本題ですが、知識や技術によって“価値提供”を果たしていきます。

 人間力は、その目的となるものが大欲(公欲)が出発点になって発していくときに磨かれていくものです。

 目の前の人に喜んでもらうお役立ちが目的で、それを果たしていく手段が知識や技術になります。

 人間力が低いとは、自分を優先して満たすために、周囲のことを考えずに知識と技術を活用するときです。

 先ほど、人の本質的要素と書きましたが、これは『人を愛する・人を助ける・人に優しい・人を敬う・素直・謙虚・努力する・積極的・前向き・・・・・』など、人として日常から周囲や世の中に価値を届ける思いです。

 これが無ければ、組織として協力して力を発揮していくことができません。

 さらに、人として魅力も感じられない人になってしまいます。


 徳という、“人間的な部分の価値”を土台にして、才という“商品やサービスに関する価値”を提供していく。

 それが、良い会社であり強い会社のお役立ちのカタチです。


 人間力を高める徳を発するのも、人様に対する“価値提供”。

 まずは、これが土台になるので、この教育が組織の仕組みとして必要です。


 そして、徳を土台にして、お客様や社会にお役立ちしていく、商品やサービスの“価値提供”。

 これが、商品やサービスの魅力となっていきます。


 価値から考える人間力と人材育成

 自分の得が出発点でなく、お客様や仲間、社会への得が出発点です。

 そのお客様への得が、自社や自分の徳になっていきます。

 お役立ちを考えるからこそ、必要とされる価値提供もアイデアとして湧いてきます。